経済

日本の借金と財政状況

皆さんは日本国が抱える借金がいくらかご存じですか?

 国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる「国の借金」は1241兆3074億円(2022年5月10日財務省発表)で、過去最多を更新中。22年4月1日時点の総務省の人口推計(1億2519万人、概算値)で単純計算すると国民1人あたり約1,000万円の借金を背負う計算となる。

日本の国債残高と推移

 下の図では普通国債残高の推移と主要国のGDP対比の債務残高推移を見ていきたい。

 ドイツを除く主要先進国の債務残高もGDP比100%を超過しているが日本は259%と他国と比べても突出しているのが一目瞭然である。

参照元:財務省HP

 上の図をご覧になって日本政府はお金をどう管理しているんだと感じる方も多いでしょう。以降では日本の国家予算(年度あたりの国の収支)の入り払いについてみていきたい。

日本の収支

一般会計歳出総額(国の支出)

参照元:財務省HP

一般会計歳入総額(国の収入)

参照元:財務省HP

 上記の歳出と歳入の図をご覧いただいて何を感じただろうか?

 注目いただきたいのは円グラフに占める借金(公債金)による収入と借金(国債費)返済の割合の大きさ、そして何よりも借金(公債金)がないと支出を賄えない自転車操業となっていることである。日本国を個人に例えれば借金の返済の為に借金をする多重債務者の様なものである。

日本の借金が膨らむ要因

では日本の財政が赤字となる要因は何なのか?

それは少子高齢化を背景とする社会保障関係費増大という構造的な要因である。

参照元:財務省HP

 歳出(支出)欄では30年前と比べて「公共事業、教育、防衛費」と「地方交付税交付金」にほとんど変化がないのに対して「社会保障」が312%、「国債費」が169%と大幅に増加。また歳入(収入)欄では「公債金(借金)」の依存度が658%となっていることがみてとれる。金額ベースでの表記ではイメージがわきにくいが増加幅(%)でみてみると如何に増加しているかがおわかりいただけるのでないか。

 下の図は社会保障の内訳であるが夫婦共働き等、子育てを支援するための「子育て支援」(7%)を除くと高齢者に伴う「年金」(45%)、「医療」(31%)、「介護」(9%)と年金・医療・介護の3項目で71%を占める。

参照元:財務省HP

日本の将来は大丈夫なのか

では日本の財政の将来的な見通しはどうであろうか?

 結論、構造的に負のスパイラルとなっており、将来的な見通しは危機的状況。

 下図の様に日本の総人口数は既にピークを越えて減少傾向であり、日本経済を支える働き世代(20~64歳)や将来の日本経済を支える世代(19歳以下)も団塊世代ジュニアの退職や少子化を背景に減少予定である。

 団塊世代と団塊世代ジュニアの高齢化で懸念されるのは歳出(支出)面は社会保障費(年金、医療、介護)の増加であり、歳入(収入)面では団塊世代ジュニアの働きと消費から生みだされていた所得税、消費税の減少であろう。

日本企業の海外進出の増加や法人税をグローバル水準に合わせていく方向性(減少)、日本企業の研究開発費の少なさ等を踏まえると大きな括りでは日本企業は米国企業の様な成長、イノベーションは生まれにくく法人税の増加は見込めないのではないか。また日本企業の内部留保の厚さや正社員採用を抑えて契約社員や派遣社員で組織運営を補う方向性を踏まえると今後も平均年収の増加は期待できず、それが所得税や消費税の増加を抑える要因となるのではないか。

数年前に北海道夕張市の財政破綻がニュースになっていたが、今後も地方の過疎化進行で財政破綻する市区町村が出てくるであろう。それが国の地方交付税交付金の増加、国家財政ひっ迫化、さらには日本国の財政破綻と繋がっていくであろう。

参照元:財務省HP

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